あくびのおと

会員の活動や近況を自由に書き込みください。記事投稿手順はDCACホームページの「会則及び会費」に有ります。

藤内壁 前尾根マルチ登攀(2023.11.15.) ’75年度藤岡

4回生から「15日に行くつもりなのだが岩に行くのでどうですか?
藤岡さん参加ならマルチルートに行きたいんですが」との連絡が有った。
何処登る心算?と聞くと雪彦か藤内壁を考えているとのこと。
参加了解し、計画書は自分たちで作るように伝え、ルートは任せるが現在の
力量から1~2グレード落としルート設定するように指示した。
現在彼らは整備された近郊ゲレンデなら5.9はリード出来るし、5.10aもやれる
レベルになっている。
藤内壁の前尾根を選ぶとの連絡が有り、フレンズ・ナッツは私が持参する事にした。
また日没が早いので14:00までにヤグラ(2峰)取付きに着かない場合はそこから下山
することを計画書に書くように伝えた。

 

日  時 2023年11月15日(水) 8:55開始―9:15藤内小屋―10:00登攀開始
                ―15:30登攀終了―16:45藤内小屋―17:30下山

メンバー L喜多、山縣('20年) 藤岡('75年)

ル ー ト 御在所岳 藤内壁 前尾根(概ねノーマルルート)

7時に京都駅八条口に集合し、新名神で御在所に向かう。
蒼滝大橋手前の駐車エリアに到着し、直ぐに藤内壁を目指す。
駐車エリアには3台の車が停まっていた。平日なので混雑は無さそうと少し安心。
三滝川沿いの登山道を登り、藤内小屋で一息つく。

藤内小屋

さらに沢沿いを詰め、藤内沢合流地点で左に沢を替える。
分岐にはclimbers onlyの看板が有り、現役2名のテンションが多いに上る。


分岐から数分で右手にウサギの耳が現れ、更に上るとテスト岩が現れる。
ここの上を右に巻くと前尾根の取付きに到着する。
50mロープ2本なので、私がセカンドに入り、7峰は現役2名がリードを交代しながら
登る事にする。

 

1ピッチ目(7峰 ノーマルルート(Ⅴ)20m)
まず山縣がリードで少し被り気味のクラックを登るのだが、7mほど確保点が無いので、
フレンズ#2で支点を取るように声を掛けるが、クラック越えの手前で降りるという。
敗退理由は2点想定できる。
 ・自身でナチュラルプロテクションセットの経験が無いので支点に自信が持てない。
 ・ザックを担いでの登攀の経験が無い(バランスが変わる)
替わって喜多がリードする。フレンズは効いているので信用して良いと伝える。
フレンズ支点の2m上にハーケンが有った。その上もボルトが無いようなので、ナッツを
使い支点を取らせた。(セカンドで登りNo8がクラックによく効いているのを確認)
その上のテラスでピッチを切り、藤岡、続いて山縣と登る。

7峰1ピッチ目

2ピッチ目(Ⅴ)20m
ここでリードは山縣に替わり、上り始める。(3人なので少しでも時間短縮を狙い)
最初の短いフェースの立込みが微妙で緊張させられるが、そこからカンテに移るとボルトも
有り安定して登れる。
登り終わり、コンテでP6 に向かう。
ここはロープ一杯にすれば1ピッチで行けそう。

1ピッチ目確保点

3ピッチ目(6峰 リッジルート(Ⅴ)35m)
時間短縮も兼ね、1-2パラレルで登る事とし、藤岡リードで取付く。
登りだししばらくは確保点が無いので、フレンズ#2をクラックにセットする。
その後はボルトが出てくるが、中間部でもう一か所フレンズをセットする。
下部の広々としたテラスでピッチを切り、2人を時間差で同時に登らせる。
13時近いので、ここでランチタイムとする。
徐々に高度感が出てきて、藤内壁が一望でき、四日市の海岸線の眺めも良い。
本当はあと2m上のテラス迄登れば良かったのだが、仕方なく2mの壁もロープを出した。

6峰

4ピッチ目(5峰 ルート任意 (Ⅲ)25m)
なだらかな斜面で、ごつごつと飛び出した岩の間を縫いコンテで登った。
対岸の中尾根に1パーティ、1の壁に1パーティいるだけの貸し切り状態である。

一の壁パーティ

5ピッチ目(4峰 北谷側 凹角ルート(Ⅲ)15m)
基部でロープを1本仕舞い、北谷側にトラバスしノーマルルート下部はノーロープで登り
中間地点でロープを出し、山縣リードでロープを張り、喜多がタイブロックで登り、
その後藤岡が登る。
ルート自体は易しいのだが、滑落すると北谷までまっしぐら(150m位)となる。
終了点からコル迄数mを慎重に下る。
岩稜からは、2峰のヤグラが起立して見える。

4峰終了点

3-4のコル

6ピッチ目(3峰 Aスラブ(Ⅲ)40m)
藤岡リード、喜多タイブロック、山縣セカンドで登る。
ルートは易しいのだが、プロテクションが殆ど無いので、一か所フレンズ#3.5をセット
する。あと数mで6Pの頭なのだが少し届かない。古い錆錆のボルトしかないので、岩頭
にスリングを掛け終了点とする。
花崗岩なので、スメアリングがよく効くのだが、アイゼントレにも使われているため、
何カ所かここぞというスタンスがつるつるに磨かれ、フリクションが効かせ難い所が有り
ワンムーブだがスリル満点。

効いてるフレンズ

3峰

 

2-3のコル到着は15:30となったので、急いで登攀具をザックにつめ、北谷に向け下山を
始める。ルートはかなり厳しく、日が暮れるとルートを見つけるのも苦労するだろう。
また滑ると数十m滑落する場所も有るので注意が必要。
沢まで降り、対岸の国見峠登山道に入り藤内小屋に下る。
小屋で装備のチェック、交換の後、暗がりの登山道を駐車場所まで大急ぎで下る。